ゴールデンウイークの中日となる5月6日、千葉県八街市のStripGardenを訪問いたしました。

弊社が設計・施工を担当させていただいた電気設備の完成後一年点検のための訪問です。

建物の竣工後一年で定期点検を行う事は一般的な事ですが、今回は東日本大震災の後。通常時の点検よりも幾許かの不安も抱えつつ千葉 八街に向かいました。

電気設備の面でStripGardenを特徴付けるものがスパイラル・バスダクトです。三相6600Vで受電した電力をキュービクルで単相200/100Vに変圧するまでは一般的な施工ですが、キュービクルからスタジオ音響用の専用分電盤にまでの幹線に電線・ケーブルを使用せず銅無垢の裸導体を用いたバスダクトによって電力が供給されます。裸導体バスダクト(気中バスダクト)の思想を一歩進め、直線部に螺旋状に加工した裸導体を配することによって対地静電容量が平衡することを回避するのが弊社独自の技術、スパイラル・バスダクトです。

StripGarden 1
StripGardenのキュービクル式受電設備。キュービクル後方から上部に向け建物内部へ入るのが「スパイラル・バスダクト」因みに写真は昨夏のもの。

但し、バスダクト類は一般的に金属製のエンクロージャーに収められており、一定距離以上の敷設長があるものは地震振動によって導体が破断しないよう、エキスパンション・ジョイント等を設けることが求められます。StripGardenに設置したバスダクトは金属製エンクロージャー接続部はウレタンを振動吸収材として振動の縁を切る構造。(構造的にもエンクロージャー内部へ水が入り込まない設計)また、導体部も変圧器から裸導体への接続部、屋外裸導体から屋内裸導体の接続部に平編導体を使用して振動の「縁を切る」工夫がなされております。
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屋外導体と屋内導体を接続する150sq平編導体

加えて、螺旋状裸導体の支持にはテフロンTFEのプレートを採用。テフロンTFEは合成樹脂の中でも比誘電率の値が最も低い部類に入り、その特性によってオーディオ分野、特にケーブル類でも広く採用されます。事実、その点がStripGardenのバスダクトの部材として採用した理由の一つでもありますが、それ以上に大きな理由。テフロンは「非常に滑りやすい樹脂」であるという事です。橋梁の建設時、橋桁をズラすために下に敷かれる事もあるのがテフロン板。地震発生時、適度に導体が滑り平編導体によるエキスパンション・ジョイントを有効に機能させる事に一役買います。

さて、これは設計時の思想ですが、現状ではどうなっているか...

と、6日朝、現地に到着後、急いでキュービクル、バスダクトを見てみると、外観上は全く異常無し。バスダクトを開けて点検してみるも異常は見られませんでした。

赤川新一さんはじめ、Stripの皆さんが到着後、建物内部の点検を行いましたが、こちらも異常なし。

今回の震災では関東地方でも大きな被害が発生しただけに、どのような状況になっているか?という点で不安もありましたが、地震の影響も無くホッと胸をなでおろした次第です。

今後もStripGardenで素晴らしい音楽が収録されることを期待するばかりです。